「未来へと歩き出した笙子ちゃんと蔦子さん」

ごきげんよう、皆さま
 今日のニュースは「http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050605-00000000-san-soci&kz=soci」のHP通りニートの増加が大きな社会問題となっていますが、一つの原因に「ネット依存」も含まれている可能性があります。
 (私も「ネット」ばかりやっていて調子を狂っていますので・・・ 「インターネット」に夢中になりすぎて「中毒」を起こしているのではとも感じられます)

 では、マリア様がみてるです。マリア様がみてる 20 妹(スール)オーディション (コバルト文庫)

  • ようこそ茶話会へ

        5(P.136〜154)

 「写真立て、どうしましょう」
 「バカ正直に、祐巳さんに持っていかないでよ。それは笙子ちゃんにあげたんだから」  「でも、だって・・・・・・」

 この写真立ては、祐巳さまと関係あるのではないのか。だが思い返してみれば、祐巳さまの私物ではない、と聞いた気もする。
 「プレゼントだって言ったでしょ? 写真を渡すのが遅くなったお詫びを兼ねて。よかったら、写真立てごと写真をもらってちょうだい」
 「いいんですか?」
 「もちろん。笙子ちゃんへのお土産に、私が買ってきた物なんだから」
 「うれしい・・・・・・!」

 素敵な写真立てだから、うれしい。
 でも、もっとうれしいのは、蔦子さまが遠くイタリアの地を旅していた時、一瞬でも自分のことを思い出してくれたということ。

 読めば読むほど蔦子さんの魅力が深まっていくといいますか、今巻は由乃さんの妹選び」の進展の他にも、本当に蔦子さんと笙子ちゃんの素敵なやり取りが待っていたなんて・・・ このお二人はつき合いとか長い訳でもないのに、傍から見ていて「姉妹」な感じがしますね。
 (個人的な意見ですが、この二人が「姉妹」に結ばれて欲しいと願っていますが、もう「時間の問題」といっても過言ではないと思いますね)

 蔦子さまは、意味ありげに笑った。
 「実は、笙子ちゃんの写真はまだあるんだな。私ね、学園祭とか展示会とか、時には『リリアンかわら版』紙上の場合もあるけれど、発表する場合は被写体である本人の許可をもらうことにしているの。そこでこれ」
 差し出されたのは、写真屋さんのくれる例のフォトアルバム。表紙をめくれば、出るわ出るわ。アップから全身まで。そのすべてが、笙子のスナップ写真だった。
 桜の花びらの絨毯を、踏んで歩く笙子。
 傘をさす瞬間の笙子。
 スポーツタオルをターバンのように頭に巻いてクラスメイトとふざけ合う、プール帰りの笙子。
 体育祭で棒を引っ張る笙子。フォークダンスを踊る笙子。
 学園祭で、クラスの呼び込みをしている笙子。『とりかえばや物語』を見終わって、ちょっと放心状態の笙子。
 いつの間に、こんなにたくさん―。

 たっくさ〜んの笙子ちゃんがいますね!! 蔦子さんのカメラ技術は小説内だけではもったいない気がしますね。
 (この小説は「カメラマン」の方が読まれても感情移入出来るんでしょうね・・・ なぜ、「マリみて」という小説が幅広〜いファン層を掴んでいるのが、だんだんとわかって来ました)

 まあ、これらは全部「隠し撮り」で写した写真みたいですが、本人の許可なしで無断に発表しないというところが、彼女のポリシーでしょうから、許せる範囲ですね。
 (「部外者の男性だったら・・・」と小説内でもありますが)

 笙子は、蔦子さまの腕にしがみついて笑った。
 蔦子さまの写真が好きだ。
 蔦子さまが好きだ。
 薔薇の館で生徒会の仕事をしなくても、輝くことはいくらだってできる。
 胸に抱えた、アルバムの中にいるたくさんの自分。蔦子さまが撮ってくれた一人一人の自分が、それを証明しているのだった。

 これで笙子ちゃんの居場所は出来ましたが、これらは蔦子さんのおかげであり、祐巳ちゃんのお節介から始まって、こんなにも笙子ちゃんは輝ける女の子になっていけて私もうれしい限りです。
 「人間って一人では生きていけない」って本当ですね!! と同時に漢文『塞翁が馬』*1のように前向きに生きていたら、笙子ちゃんみたく輝ける人間と変身出来るかもしれませんね・・・

 蔦子さまは、祐巳さまに会うなりこう言った。
 祐巳さんなんかにお節介されるとは、私も焼きが回ったものだわ」
 「あら、何のこと?」

 笑いながら、向こうに行ってしまう祐巳さま。
 「まったく、もう」
 お節介は、時にしくじることもあるだろうけれど。結果は別にして、「お節介せずにはいられないという」友の気持ちというのは、かなりうれしいものらしい。
 ―と、蔦子さまの顔を見ていて、笙子はそう思ったのだった。

 と祐巳ちゃんの優しさでもあるこのお節介ですが、もうそろそろ「妹作り」に精を出していかないと「リリアン女学園」の「山百合会」は崩壊していく事だと思います・・・
 (この小説マリア様がみてるマリア様がみてる 1 (コバルト文庫)を読んでいて感じてきたことは一番成長したキャラは「紅薔薇さま(ロサ・キネンシス)」こと小笠原祥子さまなんでしょうね。)
 
 このままだと、彼女は「妹」が出来ないまま、祥子さまが卒業してしまうという「バッドエンド」もありかなぁ〜なんて、不謹慎なことも感じてしまいます。
 (でも、そんな結末な小説なんてやっぱり嫌ですので、本当に祐巳ちゃん頑張って下さいね!!)
 
 と「ようこそ茶話会へ」は以上です。では、ごきげんよう
 

*1:人生、悪いことばかりではないから悲観することはない。いいことだって、ずっと続くはずないから、うかれてばかりはいられない。「パラソルをさしてマリア様がみてる 11 パラソルをさして (コバルト文庫)より